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ほうれん草の胡麻和え
手で混ぜて手で食べる、そしてその手を綺麗に舐めてまた混ぜる。
そんなふうにして作られたほうれん草の胡麻和えなんて、絶対嫌だ。
お箸を使ってくださいと、何度も言ってるのに手で混ぜる。
「大丈夫よ、ちゃんと手を洗ってるから」
混ぜるだけならまだしも、味見してその指をぺろぺろ舐めてそのままの手でまた混ぜるから、『ぎゃぁっ！』と心の声が出る。
子供たちもそのことを知っているから、ほうれん草の胡麻和えは食べない。
もちろん、私が作れば食べるけれど。
近所からもらったたくさんのほうれん草が、ボウルいっぱいの胡麻和えになった。
そしてそれのほとんどが、夫の胃袋に……。
わりと潔癖症の夫のことだから、事実を知ればきっと激怒し食べないだろうけど。
「胡麻和えはこの味だよなぁ、やっぱり母さんのは美味いわ」
なるほど、義母のアレも隠し味なのかも？
夫よ、ぜーんぶ食べておくれ！
私は食わん。
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