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事象
真国家・黙示録第3章1編
4の何れかの末日をもって
天の血潮が
太平を滑落させる時
ミタマガミノキルアは
空から降りて来るだろう
乖離と覚醒を
浄化と再生を
まだ知らぬ者の袂へ
2月29日・18時45分
朝から降り始めた雪は次第に激しさを増し、東京23区に大雪特別警戒警報、多摩地域には積雪注意報が発令された。
気象庁発表による積雪量は以下の通りである。
世田谷区喜多見 2m30cm
大田区下丸子 2m
渋谷区神宮前1m25cm
新宿区西新宿1m25cm
豊島区東池袋 1m
北区赤羽2m
葛飾区四つ木2m45cm
江東区東大島2m50cm
町田市原町田3cm
多摩市永山1cm
三鷹市下連雀0cm
この異常な事象により、東京都及び関東圏の交通網はマヒ状態に陥り、とりわけ、豪雪被害に苦しむ23区内の帰宅困難者や住民らは、高架駅や高層ビルへの避難を余儀なくされた。
鉄道に於いては、JR、東京メトロ、都営地下鉄、私鉄各線が終日運休となり、航空便は羽田、成田発着便が全便欠航を決めた。
比較的、被害の少ない船舶に関しても、東京港客船ターミナルは閉鎖を決め、その他の港も一部のコンテナ埠頭を除き順次閉鎖となった。
東京外環道、第三京浜、関越道、東名高速、中央道 、圏央道といった、首都圏エリアの環状線や高速道路も封鎖され、日本の首都東京は、陸の孤島と化した。
なお、積雪による停電は、東京都だけで19万2567世帯に及んでいた。
散々たる状況に東京都知事は、陸上自衛隊に災害派遣を要請したのち、緊急会見を開くものの、初動の遅れを記者らに指摘され、会見場は荒れに荒れた。
同日20時00分、東京消防庁は、大雪による死者数は24名と発表するが、その犠牲者は、送迎バスに乗っていた園児たちで、一酸化炭素中毒による車の中での絶命というショッキングな内容に世間は驚愕し、責任の有無を求めて騒ぎ立てた。
非難や応酬の渦巻く中で、民間企業の対応は評価された。
先の東日本大震災の教訓を踏まえ、JR東日本は都内全ての駅を開放した。
通信事業各社も災害用緊急ダイヤル開設し、帝都運送や大東京物流、コンビニエンス07、丸越エンタープライズ、ハンバーガーbigワン、花菱物産各社は帰宅困難者用避難所を即時に開放した。
同日21時58分
千葉県沖を震源とする地震が発生する。
震度2・千葉市全域。
震度1・東京23区。
津波の心配はなく、マグニチュードは4.5と発表されるが、SNS上では、異常気象との関連を疑問視する発言や、何の根拠もない陰謀論で溢れかえっていた。
同日23時45分
神奈川県川崎市高津区二子新地では、多勢の人々が集まり、得体の知れない不気味な現象を、スマートフォンやデジタルカメラに収めていた。
対岸は、東京都世田谷区である。
多摩川を隔て、眼前に広がる高層マンション群や商業施設、二子玉川駅は降り続く雪に掻き消され、その光景は白いオーロラの如く、風にあおられながら揺らめいて見えた。
時折、上空に走る閃光に混ざって、辺りにはバキバキと、枯れ木をへし折るような鈍い音も響いていた。
地獄の門が開く、終末の音がする。
誰かがそう呟くも、その声は周囲の高揚感と不安感に掻き消され、はじめからなかったことにされてしまった。
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