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11時か、終電には間に合いそうだな。
会社を出て駅に着くと雨で電車が止まってるアナウンスが響いていて、帰宅難民らしき人達がざわついている。
タクシー乗り場も長蛇の列でいつ乗れるかわからない状況た。
近くのホテルを探すか、会社に戻るか。
ここに居ても帰れそうにない。
稔は駅から近いホテルに向かって歩いた。
酷い大雨になったものだ。
部下達は無事帰宅してるだろうか。
「ふぅ、こんなことなら早めに切り上げるんだった」
大雨で水飛沫をあげて走る車の横の歩道を歩いていくと
「きゃあっ」
声の方に目を向けると女性がびしょ濡れで立ちすくんでるのが見えた。
女性はよろよろと歩くと何かにつまづいたのか、急に倒れ込んだ。
「大丈夫ですか!」
咄嗟に近づきながら叫んでいた。
女性は何を必死に探してるようで
「つ、杖が…」
と言いながら手で探っている。
「杖ならここに」
手渡すと、ホッとした顔になった。
「ありがとうご…えっ見える…?」
もしかしてこの子、目が見えないのか?
「大丈夫ですか?この雨ですので近くなら送りますよ」
「電車が止まってて近くのカフェに行ったら、もう閉まってて…どこかで雨宿りします」
「雨宿りと行っても、大雨でこの辺りの店は早々に閉めてるようです」
「そうなんですか?…どうしよう…」
「僕も宿泊できる所探してて、よければですが近くのホテルまでご一緒しませんか?」
「ありがとうございます。お願いします」
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