DoRow 前編

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DoRow 前編

 キングスクラウンの事件が解決した後、3人はばたばた。と、事後処理に追われていた。食肉事件の方でもスイ自身が事件の被害者になりかけたり、N署の中枢まで犯罪組織の関係者が食い込んでいたり、独断でのおとり捜査まがいの行動が問題視されたり。と、処理しなければならない問題は山積みで、三日と空けずN署に呼びだされては事情聴取の連続。その上、ハウンド本来の業務の報告書の作成など、やることはいくらでも増えていった。  通常運転に戻ったスイは涼しい顔をして、業務をこなしている。もちろん、代表者のアキもだ。  いつもなら、そんな仕事にはブーブー文句ばかりを吐くユキだったのだが、慣れない書類作成も、事情聴取も、今回は文句を言わずこなしていた。  なぜなら、スイが家に帰って来てくれたからだ。  帰って来てからのスイは、それまでの離れていた時間を取り戻そうとするように、ずっとアキやユキと一緒にいてくれた。帰って来たばかりの時は少し暗い顔をして考え込むような場面も多かったけれど、心配して声をかけると『気にかけてくれるのが嬉しい』と、笑ってくれる。自分のしていることが、その人の癒しになることが単純に嬉しい。だから、スイがそばにいるなら、書類整理も我慢できるし、事情聴取に行くスイの送り迎えならアキと取り合ってでも行きたい。  とにかく、ユキはスイがいる生活に大いに満足していた。ただそこで笑っていてくれるだけだったとしても、スイがいてくれる日々は輝いている。  けれど、スイは前以上に甲斐甲斐しく二人の世話を焼いてくれるようになっていた。  毎朝早くから味も量も大満足の朝食を作って、ベッドまで起しに来てくれる。  そして、それはもちろん。今朝も。だった。
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