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「さぁ、みんな~!出番やで~!!」
雨降の女神が大きな声を掛けると、透明でまん丸でコロコロしたかわいい姿の水つぶちゃん達がどこからトテトテトテトテ集まりだす。集まったみんなを見て、雨降の女神は「準備はいいか?」と笑顔で聞く。
「ハーーーイ!」
と水つぶちゃん達がポムポムポムポムしながら、元気よく返事する。
「うん!みんないい返事やネ。今日は優しく…優しくいくで?」
「はい!雨降の女神様」
「うん!」
「ハイ。雨降のお姉様」
「うんうん!」
「はーい!雨降のキラキラ女神様」
「うんうんうん!」
「はーい!雨降のおばちゃーーーん!」
その声にぴくりと反応した雨降の女神。
「…お・ば・ちゃ・ん…?」
と低い声で呟くと、雨降の女神の眉間にゆっくり深いしわが出来、段々目がつり上がり三角になる。
「………誰や?………"おばちゃん"って、言ったんは?」
と更に低い声でゆっくり言って、この世のものとは思えない顔でみんなをゆっくり時間を掛けて見回す。みんなはビビり、震え上がり、中には泣出す水つぶちゃんも。
「あ、雨降の女神様!そんな怖いお顔をされたら、お顔が元に戻らなくなりますよ💦💦」
とそんな声が聞こえてきて、ハッとする雨降の女神。一瞬で元の顔に…眉間に刻まれたしわの痕だけが残って、ほぼ元の顔に戻る。
「あら、いややわ~!みんな、ごめんね💦きっと"おばちゃん"は、空耳やったんやわ。みんながそんなこと言うはずないもんね。ごめんなさいね…怖い思いさせてしもて」
雨降の女神の顔がほぼ元に戻って、もちろん声もいつも通りに戻って、水つぶちゃん達から安堵の息が溢れる。
「さぁ、これを前から回すし、1本受け取ったら後ろにどんどん回していってネ。最後残った分は足元に置いといてくれたら、あとで私が集めとくしネ」
「ハーイ!!」
雨降の女神が水つぶちゃん達に合う小さくてカラフルな傘を配り始めた。水つぶちゃん達はせっせと受け取っては後ろへ回していく。
ーーーーーーー
「後ろまで傘は行き渡ったかな~?」
「ハーイ!!」
「うん!いいお返事…そしたら、みんな気をつけて落ちてきてネ。お日様がお顔を出さはったら、お帰りの合図やし、気をつけて戻ってきてネ」
「ハーイ!!」
水つぶちゃん達は1番大きな声で返事をして、下の見える場所までトテトテトテトテ歩きだす。その後ろを雨降の女神がゆっくりついて行く。
ーーーーーーー
水つぶちゃん達が下の見える場所までたどり着くと、雨降の女神が声を掛ける。
「そしたら、みんな…順番に仲良くジャンプして、くれぐれも気をつけて行って必ず無事に戻っておいでや…そしたら、みんな、行ってらっしゃ~~~い!」
「ハーーーイ!行ってきまーーーす!!」
水つぶちゃん達は元気よく返事をして、ポンッポンッ…と傘を広げて雨降の女神が言ったように順番に仲良くジャンプをして、フワフワ…フワフワと下へと落ちていく…。
雨降の女神は、落ちていく様子を見ながら手を振って、みんなの無事を願う。
ーーーーーーー
「ちょっとあっちの方チャレンジしてみるわー」
「このまま行くわー」
「こっちの方行くで~」
「今日は一緒に行かへん?」
「うん、一緒に行こ!」
「またあとでな~」
「あとでなー」
「気をつけてねー」
「自分もな~」
「そしたらバイバーイ」
「グッドラック!」
水つぶちゃん達は色々しゃべりながら、
ゆっくり落ちていき…時々吹く優しい風に乗って、みんな離れていく…。
ーーーーーーー
ぽっちゃん… ぽっちゃん… ぽちゃん…。
ポチャン… ポチャン… ポッチャン…。
優しい雨が町を包み込む。
ーーーーーーー
「これくらいの雨やったら全然平気やん!逆に気持ちいいわ!」
「ほんまやなぁ…傘ささんとこっか!」
「うん!」
「春雨じゃ…濡れていこう」
「今、春ちゃうっちゅうねん!」
「おかあさん、ちっちゃいあめ…ゆっくりおちてくる」
「あっ、ほんまやなぁ。いつもこんな雨やったらいいのに…」
「なーっ…。なぁなぁ、おかあさん、かさ、ささんくていい?」
「いい、いい。お母さんもささんとくわぁ」
『チュチュンチュン(雨やけど…)』
『チュチュチュンチュン(雨宿りしなくって全然大丈夫やなぁ)』
『チュンチューン(このまま飛んで行く?)』
『チュンチュン(行こ行こ)』
ーーーーーーー
雲の間からひょっこりお日様が顔を出すと、町中に溢れ出す…草や木のにおい、花のにおい、土のにおい、アスファルトのにおい…。
そのにおい達はフワフワ…フワフワ…とゆっくり舞い上がる。
ーーーーーーー
雨降の女神が待つ上では、姿は見えずも、草や木、花、土、アスファルトのにおいと一緒に沢山の声が聞こえてくる。
「雨降の女神様、ただいま戻りました」
「雨降の女神様、ただいまです」
「雨降の女神、帰りました」
「疲れました…」
「ただいま~」
そんな声に雨降の女神は答える。
「お帰り!」
「お疲れ様やったね」
「無事でよかった」
「この後ゆっくり休みや」
「ご無事で何より!」
ーーーーーーー
ついでに雨降の女神は見つけ出す…。
「あんたやろ?"おばちゃん"って言うたんは…」
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