ふたりでほどく

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 身体を押し付けられ、硬いものが太ももの内側に触れる。  悠李がわたしで興奮してくれているのが手に取るように分かって嬉しい。  最初の頃は恥ずかしくて悠李の反応を察することすらできなかったのを考えると、わたしもずいぶん慣れてきた。  それも嬉しい。  だってそれだけたくさん悠李と身体を重ねてきた証拠だからだ。  悠李の手がそろりとお腹をなで上げる。  指先が少しずつ当たって、絶妙な力加減だ。  鼓動が高まっていく。  またこの瞬間から二人だけの時間始まる―――と期待を膨らませるわたしをよそに、熱くて柔らかな唇はすぐに離れていった。 「なあに?」 「もう一回、してもいい?」 「もちろん。わたしもキスするの大好きだもん」 「違うよ。彩月のことがまた欲しくなった」  悠李は首すじに唇を這わせながら、焦がれるような声でそう告げた。  いつもなら強引に推し進めるのに、わたしの反応を伺っているようで思わず笑みがこぼれる。  まるで付き合いたての頃みたいだ。 「どうしてそんなこと聞くの?」 「明日は結婚式だから。無理させたらだめかなって」 「そっか、うーん……そうだね」  大学を卒業してから2年が経ち、わたし達は明日結婚式を挙げる。  仲の良かった大学の同期や幼い頃から仲良くしていた友達も呼んで、盛大なパーティーを開く予定だ。  明日は思い出話に花を咲かせ、たくさんお酒を飲んでハードな一日を過ごすことになるだろう。  それに、皆が楽しい思い出を作れるようにちゃんと式をまとめられるかどうかも不安だ。  たくさんの人達にまんべんなく気を遣うのも難しいだろうし、人前にほとんど立ったことのないわたしが皆の前で両親への手紙を読むなんてハードルが高すぎる。  最後まで間違えずに読めるだろうか。  手も声も震えてしまいそうだ。  悠李がいてくれるからきっと大丈夫だろうと思うけど。  わたしはしばらく考えてから隣に向かって微笑みかけた。
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