50人が本棚に入れています
本棚に追加
◇
「というわけで、外泊の許可をくださいっ!」
先輩から誘われた日の夜、私はたっくんと一緒にリビングの床に正座をして、自分の両親に頭を下げた。
一応、未成年だから外泊するには親の許可を取らないといけない。
「遊びに行くのはいいけど……女の子は夢乃一人なんでしょ? 本当に大丈夫?」
外泊メンバーは同年代の男子三人とちょっと年上のお兄さん一人。
お母さんが心配するのも分かる。だからたっくんにも同席してもらった。
「一人だけ心配な奴はいるんですけど、残りの二人は俺の兄貴分と弟分みたいな奴らなんで夢乃さんには絶対に手を出したりしません。もう一人の奴も、俺が絶対に指一本触れさせないようにすると誓います」
マジになったたっくんは惚れ惚れするほどカッコいい。キリッとした男らしい眼差しにキュンキュンしちゃう。
「たっくんがいつもそばで守ってくれるっていうなら、まあ安心かな」
「ありがとうございます!」
「夢乃のこと、よろしく頼むよ」
たっくんは私の両親からの信頼も厚い。二人が去年の年末に旅行に行っちゃって私だけ留守番になった時、たっくんが二人との約束をちゃんと守って私と大人の真似事をせずに健全に過ごしてくれたことが響いているみたい。
ってことは、今回もたっくんとのラブラブはなしかあ。
ちょっぴり残念。
「たっくんのことは信頼しているけど、夢乃の方が危なっかしいねえ」
「たっくんに手を出すんじゃないぞ、夢乃。たっくんは純粋な子なんだからな!」
……ほら。私の方が信用ない。
「分かりましたっ! たっくんの貞操は私が守りますっ!」
私は両親にしっかり約束をして、自分の部屋に帰ろうとするたっくんを外廊下まで見送りに出た。
「ありがとう、たっくん。土曜日楽しみだね」
「おう」
たっくんはトマトみたいに真っ赤になって私から目を逸らした。
「き……木更からも他の奴らからも絶対お前を守り抜くから……安心しろ……とか、恥ずかしいこと言わせんな!」
照れてるたっくんが可愛すぎてたまりません。
「うんっ! 私も木更先輩の魔の手からたっくんを守るからね!」
「……何で木更から俺を?」
鈍感なたっくんは不思議そうに自分の首の後ろを撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!