もう一回、あと一回

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もう一回、あと一回

「あと一回がんばろう!」  先生がそういって励ましてくる。  学校の体育で、何度やっても逆上がりができないのは僕だけだ。だから、放課後も先生がつきっきりで練習を見ている。  日が傾いてカラスが鳴く中、何日も練習してやっと一回だけ逆上がりができた。  これでもう、放課後の小学校で鉄棒の練習をしなくていいんだ。授業が終わったらまっすぐ家に帰っていいんだ。  そう思って安心していると、先生はうれしそうにこう言う。 「やればできるじゃないか!  それじゃあ、もっと早く走れるようにマラソンの練習もがんばろう!」  先生の言葉を聞いて絶望する。  僕はどこまでがんばればゆるされるんだろう。  学校の屋上に駆け上ってそこから飛び降りたくなった。
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