聖夜と真綾

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聖夜と真綾

真綾とは大学に入学してすぐに知り合った。 彼女は控えめで道端に咲いている 小さな花のように優しい性格だった。 どんな些細なことでも心配してくれて、 僕はいつの間にか彼女を目で追うようになっていた。 真綾が笑っているのをボーっと眺めていると 友人の剛がニヤニヤと笑っているのに気づいた。 「何だよ」 「聖夜、お前、あの子のことが好きなんだろ?」 「はぁ!?」 心の内を見透かしたかのような発言に 思わず大声が漏れてしまう。 皆の視線が集中したのに気付き 僕は声を潜める。 「そんなわけないだろ!」 「でも、お前いつも橘さんのこと見てるじゃん 好きなんだろー?」 「うっ…」 「白状しろよー!」 これは、話すまでしつこく聞いてくるだろうな…。 僕はため息をつき、頷く。 「誰にも言うなよ!」と口止めするのも忘れない。 「マジか!応援してるぜ親友。」 剛はニヤニヤ笑い真綾をチラッと見た。 僕がまた彼女を見ると振り返った真綾が ニコッと笑い、首を傾げた。 顔が熱くなるのを感じ、僕は真綾から目を逸らした。 また真綾を見ると友達と談笑していた。 「橘さーん!コイツが橘さんと 遊びたいらしいぜ!」 剛が真綾達に向かって突然大声を上げる。 「ち、ちょっと!何言ってんだよっ」 「いいじゃん、むしろ橘さんと 近づけるチャンスを作ってやった俺に感謝しろよ」 剛が言い、僕の背中をトンっと押した。 ええい、当たって砕けろだ! 「……真綾。週末映画見に行かない?」
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