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誤解
幸せな時間はあっという間に過ぎ
一年ほど付き合った後、俺たちの間に少しずつ
亀裂が入っていくこととなる。
「真綾。週末遊ばないか?」
「ごめんね、聖夜くん。
週末はちょっと用事があって…」
申し訳なさそうな顔をする真綾だが
ここのところ毎日そんな感じだ。
「真綾、僕のこと避けてるのか?」
少し寂しい気持ちで聞くと真綾はキョトンとした。
「避けてなんかないよ?
実は、弟の病院に付き添わないといけなくて」
そういえば、真綾の弟は持病があって
通院してるんだっけ。
自分の勘違いに恥ずかしさを覚える。
「そ、そっか、なんか
勘違いしちゃったみたいだ。ごめんな」
「ふふふ、聖夜くんったら」
そう言って笑う真綾の瞳の奥に悲しみが
滲んでいるような気がした。
けれど、そのときは気のせいだって
思ってしまったんだ。
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