誤解

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「聖夜あのさ……」 帰りに剛とバス停でバスを待っていると、 剛がおもむろに切り出した。 「何だよ、もったいぶって」 「実は、俺見ちゃったんだよ。」 「何を?ユーレイか?」 「…橘さんが他の男と歩いてるところ」 「はぁ?」 剛はスマホを操作して、画面を僕に突き出してきた。 楽しそうに笑っている真綾の目の先には 背の高い男の後ろ姿。 「まさか。真綾に限ってありえないよ」 僕はスマホを押し返す。 「でも、よく見ろよ、コレ」 剛が写真をズームすると後ろの建物の名前が見えた。 …ここ、ラブホテルじゃないか。 「え……」 いやいやいや、真綾に限ってそれはない。 僕はある考えを振り払った。 けど、剛は言う。 「橘さん、浮気してるんだよ!」 「何言ってんだよ、そんなわけないじゃないか。 ただ通りすがっただけかもしれないだろ!」 それでも剛は納得のいかない表情を見せる。 「分かったよ。真綾に聞いてみるから」 僕は胸に残るモヤモヤを落ち着かせるように 拳を握りしめた。
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