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再会と別れ
「今、なんて言ったんだ?」
「出て行って」
真綾が泣きながら俺の胸板を力強く押す。
けど、僕の体はびくともしない。
「わたし達、もう終わりだよ…」
真綾は力なく呟き部屋を出て行った。
気づくと僕は真綾の家を後にして帰路を辿っていた。
真綾に振られた。
その事実が僕を打ちのめす。
僕は、サイテーだ。
その場に座り込み、深くため息をつく。
家族は一番身近な存在だし、デートの回数が
少なくなるのは当然のことなのに。
頭では理解できているのに心がうまく操れない。
夕焼けが苛立つほどに眩しい。
太陽はこんな気持ちを知らないだろう。
そのくせ自分勝手に空を橙色に染める。
僕は自嘲気味に笑った。
あぁ、それって僕のことじゃないか。
あれから真綾に会って謝罪がしたいと
メッセージを送ったが未読スルーをされた。
関係が絶たれて三年経ち僕は大学を卒業したが
真綾とヨリを戻すことはできなかった。
自分が病気になって改めて実感させられる。
僕は最低な男だったと。
今になっても後悔している。
願いが叶うのなら、あと一回だけ…
「聖夜くん」
聞き馴染みのある声に顔を動かすと、
そこにいたのは…
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