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教師を含めて全員が静かになり、僕とアリアに視線が集まった。僕はもうそんなことは気にしない、ここで思いを伝えないと一生後悔すると思ったのだ。
でも、オーディエンスからして見れば、単なる告白とは違う。「何回目?」「え、もしかして卒業式に死ぬの?」などと言うヒソヒソ声が聞こえてきた。
見つめているアリアの目は潤んでいた。アリアは少なくとも2回目だということは理解しているだろう。
「アリア…。」
「…ご、ごめんなさい。」
アリアは頭を下げて教室から飛び出していった。
「マジか!洸太、お前何回目なんだ!?」
「死ぬの!?」
「おい、洸太!!」
勝手に成功すると思い込んでいた僕は、まさかの結果に呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。
ざわついた教室も、僕が死なないことが分かると笑い話の雰囲気に変わり、クラスの皆は、僕に励ましの言葉を掛けて教室から出ていった。
教室で1人になった僕は自席で頰を机に付けながらぼーっと隣のアリアの席を見つめていた。
気が付くと時間は夕暮れ時となっており、アリアに最初に告白した日と同じように教室はオレンジ色に染まり始めていた。
「…アリア。」
僕はずっと握りしめていたハンカチで涙を拭った。
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