3人が本棚に入れています
本棚に追加
「私、2回も洸太くんからの告白断ったんだよね。」
「…あ、うん、でもそれはアリアが悪いわけじゃないよ。僕が勝手にしたことだから。」
「ううん、そうじゃないの。」
…どういう意味だろう。
「…アリア?」
「私ね、またすぐにお父さんの仕事でこの街から離れるだろうと思ってたの。…洸太くんとお付き合いしても、すぐに離れ離れになるとずっと思ってて、それで…。」
アリアは言葉を詰まらせた。
「…ごめん、頭が混乱してるんだけど、僕が都合の良い解釈をするなら、僕が嫌だから断られた訳じゃないってこと…かな?」
アリアはコクンと頷いた。
「…お父さん、新しい支社がこの街の近くに出来て支社長になったから数年間は転勤が無いって、高校生になってから知ったの。中学の時はスマホも無かったから、洸太くんと連絡を取る手段も無くて。…私もね、2回告白に失敗してるの。洸太くんと同じなの。」
「…告白って誰に?」
「…誰だか分かんない。」
「え?」
「街なかで見つけた人。あ、違う人に1回ずつね。」
…どういうことなんだ。僕に脈があるように見せといて。アリア、君の考えが僕には全く分からないよ。
「…アリア。僕は弄ばれてるのか?」
「ううん、違う!違うのー!」
アリアは立ち上がって、僕の正面に立った。
「…アリア?」
「洸太くんからの貴重な2回の告白を私は自分の気持ちに嘘をついてまで断った。だから私も2回は無駄にしようと決めたの。街なかで見つけた適当な人なんて好きじゃない、単に絶対断られる人を選んだだけ。これで…これで、洸太くんと私は同じでしょ?」
アリアはニコッと微笑んだ。僕はもうアリアの目に吸い込まれそうだった。
「…洸太くん。」
アリアは僕の手を握った。僕はゆっくりと立ち上がり、アリアと見つめ合った。
「私、あなたがす…」
僕はアリアの唇に指を当てて言葉を遮った。
「一緒に…一緒に命を懸けた告白をしたい。僕は君のためなら死ねる、そう思ってる。」
アリアは泣きながら頷いた。
僕とアリアは目で合図をし、同時に口を開いた。
「私は洸太くんが好きです。付き合ってください。」
「僕はアリアが大好きだ。僕と付き合ってください。」
僕とアリアは目を見合わせて微笑んだ。
「「はい、よろしくお願いします!」」
ー 僕は今までで一番美しいアリアの顔を生涯忘れることは無いだろう。
最初のコメントを投稿しよう!