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読め、左だ姫よ?
あっこれならどっちから読んでもおんなじだ!
『つぎみぎっ』
『だめすすめすすめだ』
『そこでしいてていしでこそ!』
なんとそこからマホくんは、私に誤解されない様な言葉を見事に選んでナビを始めたのだ。
そしてついに!
『たいつ!』
たいつ!?
『たいつよたいつ!』
たいつたいつ!
スマホを抱きしめて騒いでいたら、もう少しで受付の人に通報されるところだった。
よかんゃちがえ。
☆
さあ。もうすぐ始まるコンサート。
ありがとうマホくん。閉じたスマホをそっと撫でてあげる。
あなたが教えてくれたのは、道だけじゃない。
やっぱり私は、都会にはあんまり来ない方がいいと思う。
だからもうこんな素敵なショーを観る事はないのかもしれない。
ここに来るまで何度、もう一回をしただろう。
でも、あと一回はない、これが最後。
無様でどんくさい私だけど、今日だけは一途なファンとして精一杯ステージに声援を贈るわ。
誰かに笑われてもいい。
これは愛。無償の愛。
見返りなんて求めていない。
一方通行、それでいい。
私のちっぽけな愛を捧げる。
それで、今日このひとときだけでも。
ほんの僅かでも推しが輝いてくれるなら、それでいいの。
ああ!始まる……!
照明を落としたステージから、歌声が聴こえて来たわ!
♪ないさ くいなどない あいだね かおりはやさしいこ
こいしさ やはり……!
も、もう一回歌ってみろこのおおおおおお!!
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