もしこの恋が叶ったら、

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 私とソラは幼馴染で小学校の1から4年もずっと同じクラスだった。私はとてもおしゃべりで、みんなと話すのが大好きでクラスに友達も多かった。勉強も運動もそこそこできたから、クラスのみんながリーダーや代表に推薦してくれることもあり、その度に役割を担ってきた。みんな私を褒めるときには「賑やかでリーダーシップがあるね。」と言ってくれた。でもその一方で、「うるさい」や「目立ちたがりや」とレッテルを貼られる事もあった。ある男子に「ブスは引っ込んでろ。」と言われたときには、ショックで5日間学校に行けなかった。私が自分の長所は賑やかでリーダーシップがあるところでそれが短所でもあると認識し始めたとき―。「日菜乃の良いところは優しくて思いやりがあるところだよね~。」とソラが言ってくれたのだ。「ヤサシクテオモイヤリガアル」それは私には馴染のない言葉だった。一瞬驚いたが、すぐに新鮮で嬉しい気持ちになった。私の良いところを、みんなとは別の方向からみてくれているということがすごくすごく嬉しかった。ソラに好意を持ったのはその時からだった―。  4年生最後の放課後、ほのかが「ねぇ、日菜乃はソラのことが好きなの?」と聞いてきた。運悪く、2人きりだと思っていた教室にはソラもいた。ソラが「えっ、、、」と目を見張る。私は突然の後に慌てて、「そんなわけないじゃん(笑)」と言い走って教室から逃げ出した。直後は嘘をついてしまった後悔よりも「私の反応から2人に私の気持ちが悟られてしまったのではないか。」という心配な気持ちが強かった。しかし、時を重ねるうちにそれは確かな後悔へと変わっていった「いくら突然のことだったからといって、あそこまではっきりと嘘を付く必要はなかったのではないか。」「もっと濁した答えだってあったはずだ。」と後悔してももう遅い。ソラはあの時私のことが好きだったと知ったのは随分と時がたってからだった。  5年生になって私とソラは初めてクラスが分かれた。ソラはほのかと一緒のクラスだった。5年生になってから何ヶ月かたったある日、友達が話しかけてきた。「ねねー、ひなの知ってる?1組の雲井さんと天野くん付き合ったらしいよー。」え??あまりの衝撃に私の体中が全て動きを止めた―気がした。「ひなの?どした?」友達の声に我に返る。みんなの声が聞こえだす。「なんでもない!!」と、できるだけ明るく平静を装って答える。なんでもなくない。突然のことに事実が飲み込めなかった。しばらくして、胸にズキンと痛みが走った。2人が付き合った―ということは変えようがない事実なんだということにすごいショックを受けた。またしばらくして、あの日気持ちを伝えられなかった後悔が襲ってきた。私は失恋したんだ―。その日その後どう過ごしたのかよく覚えていない。
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