もしこの恋が叶ったら、

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 私は泉越水乃。在籍クラスは6年1組です。新クラスになり早1か月。クラスもグループが決まって、落ち着いてきました。私はというと、今年も私が密かに想いを寄せている弦くんと同じクラスになれたので、引き続き一緒に過ごすことが多いです。今、昼休みも2人で花を育てる係の仕事をしています。私は花を育てているときの弦くんが大好きです。もちろん弦くんはどの瞬間もかっこいいのですが、花を育てている時の弦くんはより一層かっこよく見えます。私が弦くんのことを好きになったのも、花を育てている弦くんに惹かれたのがきっかけです。去年の今頃、私は昼休みに1人で読書をしていました。読書を始めてから10分くらい経った頃、目が疲れできたので、私はベランダに目を向けました。その時、弦くんはベランダで花に水やりをしていました。その弦くんの花に向ける真剣だけど優しい眼差しに、私のハートは撃ち抜かれました。その日から私は弦くんを目で追うようになりました。最初は接点もなく、ずっと目で追って、同じ空気を吸って、この地球上に生物として一緒に存在しているだけでも幸せでした。2学期、そんな私にも弦くんと仲良くなるチャンスが訪れました。なんと、私は弦くんと同じ「花を育てる係」になることができました。そして、一緒に仕事をするうちに弦くんと仲良くなれました。弦くんは、私の初恋の人でもあり、今までひとりぼっちだった私の初めての友達にもなってくれました。弦くんが誰かを好きになっても、仲良くなれただけで幸せだと思っている自信はあったのに―。  「弦くん、水乃ちゃん!ごめん!修学旅行実行委員の仕事があって遅れちゃった~。」そう言って走ってきたのは、春日部日菜乃さん。「日菜乃ちゃん、忙しいのに来てくれてありがとう。」と弦くんはにっこり笑って返しました。春日部さんが来て、弦くんは頬をバラ色に染めて嬉しそうにしています。どうやら、弦くんは春日部さんのことが好きみたいなんです。私がどうしてそう思ったかというと―。
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