雨のカレ

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「晴れと曇りと雨だったら、どれが好き?」  その質問をされた時、私は真っ先に「雨!」と答えた。すると友達から意外な顔をされ、「ええ~」と否定するようなトーンで言われる。雨、と答える人が滅多にいないからだろう。私には理解ができなかった。  私は晴れよりも曇りよりも雨が好きなのだ。天気の中で雨が一番好き。だから梅雨も台風も好きだ。 「何でそんなに雨が好きなの?」  友達が興味津々で聞いてくる。私は「んー」と言って考えた。 「雨が降ったら美味しい食べ物が実るでしょ? 花だって咲くし、音が綺麗。あと雨が上がったら虹が出るから。雨って良い事尽くめじゃん?」  そう言うと、また普通じゃないとでも言うような瞳で私を見た。 「逆に何で雨が嫌いなの?」  友達は晴れが一番好きで、雨が一番嫌いらしい。 「だって雨が降ると髪の毛うねるし、頭も痛くなるし、ベタベタするし、嫌なことだらけだもん」  友達はうねった前髪を気にするように、いじった。ちなみに私の前髪もうねっている。前髪だけじゃなくて、髪全体がうねってパーマがかかったみたいになっていた。元々の私は直毛である。 「あーまぁ確かにその点もあるけど、そこも含めて私は好き」 「ドMじゃん」 「かもー」  あはは、と私は笑った。友達は私を見て苦笑いを浮かべている。  その日も雨だった。友達は部活があるので、帰宅部の私は基本一人で帰宅する。お気に入りの緑色の傘を差し、いつもとは違った雨の景色を目に焼き付けた。
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