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祭りの影
誰かに助けられることを恐れた俺…千夜保(せんやたもつ)は、今日もまた強がりの仮面を装った。
夏休み直前。
心誠(しんせい)学園男子校、1年B組の教室での数学の授業中。
気の弱い教師の話なんざ、聞く気がこれっぽっちもねー俺は机の上に突っ伏していた。
教師が黒板の前で熱心に授業を進めている。
俺の直ぐ前の席の親友…鈴木航(すずきわたる)はわざわざご丁寧に振り返って、俺に話しかける。
「千夜くん、さっきから授業、きちんと聞いていますか?あの問題、面白いですよ」
俺は顔を上げ、ニヤリと笑った。
「聞いてねーけど、何が面白いんだ?」
後ろの席に座っている友人の征矢(そや)たちが、俺と鈴木のやり取りに気づいて、笑いを堪えた声で言った。
「千夜くん、また先生に怒られるよ!あんまりふざけてると、マジでペナルティ食らうかもな!」
「お前、いつもそんな感じだもんな!授業中に寝ていないのを見る方が珍しいぜ」
俺は大げさにあくびをしながら、鈴木に向かって教師のモノマネをする。
「『えー、寝るのは禁止です!』って教師が言ったら、俺は『それって夜は寝れないってことっすか?』って返してやるぜ」
教室は、一瞬静まったが、すぐに笑い声が広がった。
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