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実際、俺は今までのツケを払うように、鈴木に勉強を教えてもらおうとしてたが、興醒めだ。
俺は春日部の拳を離すと、足を下ろし、教科書とノートを入れて来た鞄を肩から担ぐ。
「ま、待て!千夜!どこに行くつもりだ?!」
「…帰る。こんな学園、来るのも嫌だ」
俺は、春日部が怒鳴り散らしながらも、拳を止められたことにビビっているのをいいことに、椅子から立ち上がると、教室を後にした。
新しい自分になろうとしてた矢先の、豹変した学園。
屋敷に向かって、歩を進めながらも、俺の胸には鈴木や山村と登山した時の思い出が去来していた。
あの時、頂上で撮った写真は、俺の自室のアルバムの中に加わった。
あの時は、まさか学園が、あんな風に変わるなんざ思ってもいなかった。
なかなか上手くはいかねーモンだな…。
だが、俺もずっと学園を休む…況してや、退学することは出来なかった。
どんな学園になっても、校長が戻ってくるまでの辛抱だ。
俺は新しい携帯で、鈴木と山村にメールを送った。
『今日は、帰って悪かった。どんな学園であろうが俺は、あんた等と登山した事を忘れねー。明日からは、普通に通学する』
俺は…俺達は、新しい学園で、これから如何に生活していくかの苦境に立たされることになる。
完
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