1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
恋に気づく
1
晴れの空。今日はオリエンテーション合宿の日。1泊2日の泊りがけで行く入学早々一番のイベントだ。
行き先は河口湖。
学校には大型バスが12台止まっていた。クラス単位で行動することになっていた。
梨沙は田中千尋ちゃんというクラスメイトの隣の席に座った。
「おはよう、千尋ちゃん」
「おはよう、ももち。まだ眠いね」
「だねー」
そう言いながら梨沙は大桃のことを考えていた。
向こうについたら少しは会えるかな?
そうこうしているうちにバスは学校を発車した。
「向こうについたら、まず昼食だから出席番号順に並んで食べること」
担任の大島先生が連絡事項を述べている。
うとうとして、梨沙は居眠りをした。
夢には大桃が出てきて笑いかけてくれた。
そして、なぜだか2人は恋人同士になってた。
そこで、目が覚めた。
「ももちったら寝てたの?もう着くよ」
千尋ちゃんに言われ我に返る。
もう河口湖か。湖が見えてきた。
2昼食はカレーライスだった。
「昼食の後は一旦部屋に戻って、それから体育館でオリエンテーションを行うからそのように」
食べ終わった後、各自一旦部屋に戻った。
木曽ちゃん、穂乃香、瑠奈とは同じ部屋になっていた。理恵ちゃんとは残念ながら別の部屋だけれど。
そして、体育館へと向かう。その最中に12組が隣を通った。大桃がその中にいた。私を見かけるととびきりの笑顔で微笑んだ。梨沙もそれに応えるように笑いかけた。たったそれだけのことなのにすごく胸をときめかせた。梨沙はふと思う。大桃に対するこの感情はなんだろう?
「ももち、大桃のことばかり見てる。好きなの?」
穂乃香がニヤニヤしながら聞いてくる。
「まだそんなんじゃないよ」
言いながら梨沙は好きなんだ、と自覚した。
そうだ、この感情は恋なんだ。
「えー、これから校歌の練習をする。生徒手帳を開いて」
梨沙は校歌の書かれた生徒手帳に目を落とす。
「汚れを知らぬ青春の〜、か」
「なになに、気になるの〜?その歌詞、今のももちそのものだもんね!」
「穂乃香!」
全くもう、穂乃香ったら図星なことを言う。
「絶賛、大桃と青春中だもんね〜、いいね〜」
「まあね〜」
最初のコメントを投稿しよう!