それは間違いから始まった

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次に彼女に会ったのは、2週間後だった。 また、うちの春日野高校と、山城高校、槻瀬高校の3校での練習試合。 「今回もよろしくお願いします」 「よろしくお願いします」 前と全く同じやりとりをした。 「あの、コンビニ行くんで飲み物でも買ってきましょうか?」 「いえ、いいです」 結城先生は僕の申し出に驚いたようだった。 「えっと、連絡先交換しませんか?」 「ダメダメ! 連絡先聞くの禁止!」 こちらの話を聞いていないようだったのに、またもや大河内先生に注意をされてしまう。 連絡先聞くのもダメか…… 「後でスコアのこととか聞きたいこと出てくるかもしれませんし……」 「俺を通して」 「大河内先生は連絡先交換してないんですか?」 「交換してない。連絡事項は直接会った時にしている」 それは……先生が同じ学校だから…… 「福島、ボール出すの手伝えよ」 槻瀬高校の生徒が座ってスマホを見ている茶髪のマネに声をかけた。 「えーっ、ネイルがはげるから嫌」 「わたしやるよ」 「結城サンキュ!」 どうやら『福島』という名前の、茶髪のマネは副顧問の結城先生より働かないようだ…… いいのかそれで? 大河内先生、そこは注意しないんだ…… 結城先生は背が低いせいか、男バスの生徒に囲まれていると、ますますかわいく見えてしまう。 どうやったらもっと話しができるんだろう…… その後も、何度か槻瀬高校とは練習試合をしたけれど、彼女とは全く進展どころか、ほとんど話すらできなかった。 それでも、めげずに、見かけるたびに声をかけた。 「今日もよろしくお願いします」 「よろしくお願いします」 ここまでは邪魔されないんだ。 いつもここからなんだ。 「今日って、どうやって来られたんですか? こんな辺鄙な場所にあるスポーツセンターで不便だったでしょう?」 「車で」 あわよくば「送って行きますよ」と言うつもりが失敗。 車で来てるのか。 「あの、良かったら、練習の後ご飯にでも……」 「ダメだって! 誘うの禁止!」 大河内先生に阻止された。 彼女はひとりでいることがほとんどなく、生徒に囲まれているか、大河内先生の近くにいる。流石に生徒の前では誘いにくいから、大河内先生の目を盗んでそっと話かけているのだけれど、いつも見つかってしまう。
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