第3話 眠れる惑星「泡」の件

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 Gがその場から立ち去ってからも、しばらく連絡員はその席に留まっていた。  半顔の仮面を頭の上に乗せ、傍目からはぼんやりとしているように見える。  やがて、重力の無い足どりが音もなく、彼の背後に近付いてきた。  キムはふっともたれたカウチの背から見上げた。  するとそこには赤の道化師がぬっとカードを手にしている。 「抜けって?」  道化師はバネ人形のような動作でうなづく。  彼は言われた通りにカードを引いた。そして一瞬じっとそれを見ると、ゆっくりと裏返した。 「このカードは変わってるな。女王様が蒼いぜ」  すっと、芝居がかった手つきで、道化師はそのカードを取り戻した。  だが何処へ隠したのか、それはすぐに見えなくなる。  キムはその様子を見て笑った。 「相変わらずいい腕だ。そっちを本業にしたらどう?」  それを聞くと、道化師は大げさに腕を広げ、背中から青年の首に腕を巻き付けた。  ほとんど頬をすりつけるくらいの勢いは、端から見れば実に微笑ましい光景ではあった。  だが。 「何だよ」 「あれはどうだ?」  道化師の唇もまた、殆ど動いてはいなかった。 「上々」  くくく、と彼の背中で、笑い声が聞こえた。
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