第1話 何はともあれ、彼は目を引いた。

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 人類の居住地が地球ただ一つだった遠い昔の時代にも、類似の組織は最低、国の数だけ存在した。  その集団が銀河帝国において存在を主張し始めたのは、およそ三十年程前のことである。  既に成立から三世紀近く経った帝国の歴史においては、さほど遠い過去ではない。  だがその時間は、彼らが勢力を拡大していくには充分だった。  その集団が存在を主張した当初、帝国内務省国家公安局は、その集団の存在を認めようとしなかった。そもそも認めることのできない存在だったのだ。  だが、顔を背け続けることはできないことに気付いた時には既に遅かった。  その集団の構成員は、様々な所から帝国の内部に入り込んでいると言われている。帝国屈指の財閥も手を組んでいるとも噂されている。  ただし、それは、全て噂に過ぎない。  実際にその集団について「本当に」記されたものは存在しなかった。  当の構成員にしたところで、集団の本体が何処にあるのか、集団がどのような構成をしていて、自分がどの位置に居るのか、そして何のために自分がそういう位置におかれ、そう動かされているのか、大して知ってはいないのだ。  末端へ行けば行くほど、その傾向は大きい。  極端な話、彼らはその組織の正式な名前すら知らされていないのだ。  ただ、構成員の間では一つの名称がまかり通っていた。「MM」と―――
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