雨の国

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 放課後、わたしはハルタくんを、わたしの傘の中に入れて家に連れて帰った。 「ここがミソラの家? かわいいね」 「でしょ」  わたしの家は白い壁に赤い屋根の家で、おとぎ話に出てきそうな見た目をしている。ハルタくんに家を褒めてもらって純粋に嬉しい。良い気分のまま、彼を二階の部屋へと連れていった。 「“雨の国”っていうのはね、わたしが考えた絵本のタイトル。これなんだけど」  わたしは、自分の好きな本を集めた本棚から、画用紙でつくった手作りの本をハルタくんに見せる。  イラストと文章を手書きで書いて、ホッチキスで止めただけの本。でも、わたしにとっては人生で初めて書いた物語で、とても大切なお話だ。 「わ、すごい。これミソラが書いたの?」 「うん。本を読むのが好きだから、自分でも書いてみた」 「へえー。見ても良い?」 「もちろん」  見せるためにハルタくんを家に読んだのだから、喜んでページを開いてもらう。
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