雨上がりの空下、また君と笑い合いたいから

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 あれは小二の冬だった。  学校の集会で、「今年の春にスポーツ少年団で女子ソフトボールを開設するから、興味のある子は練習に来てね」と監督から呼びかけられたのがキッカケだった。  面白そうだとグラウンドに行くと、集まったのは僅か六人で、小規模な活動が始まった。  初めは柔らかいボールですら投げ合うのが怖くて、練習の形すら取れなかった。  でも一つ一つ出来るようになるのが嬉しくて、毎週土、日の練習に通うのが習慣になり、希望して入団。  気付けばみんな友達で、特に「奈々(なな)」とは仲が良く、そうなったのは一つの出会いから。  練習日の朝、一時間前からポツポツと降る雨に溜息を吐きながら家を早く出て。近所の神社に寄ろうとそこに続く石段を駆け上がり、小山の頂上に佇む小さな拝殿に「雨が止みますように」と願った。  練習は室内でも行われるが、出来る練習は限られてしまう。  だからひたすらに願った。昼まで降り続けると予報が出ていることは知っていたけど。  当然雨が止むことはなく練習に向かおうとすると、目の前には石段を登ってくる水色の傘を差した体操服姿の女の子。  ショートヘアで、目がクリクリとして可愛らしい、同じスポ少の奈々だった。  互いに顔を見合わせて驚いたけど、願いは同じみたいで一緒に願掛けをして。集合時間まで時間があるからと、神社の下で話をしていたら雨足が弱まってきた。  風により流され遠のいていく黒い雨雲、白い雲から差す光、どんどん広がっていく青空。  目の前で広がる景色は現実で、願いは聞き入れられたような気がした。 「行こう!」 「うん!」  私達は手を繋いで石段を降りて行き、雨の雫によってキラキラと光る町並みに、笑い合いながら走っていた。  グラウンドは湿っているけど、整備したら練習は出来ると監督は判断し、私達は「トンボ」と呼ばれるグラウンドを整備する道具で、練習準備を始める。  綺麗になっていくグラウンドが、太陽の熱によって乾いていく土の香りが、雨によって澄んだ空気を思いっきり吸うのが大好きだった。
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