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寒いルーンセルンでここまで見事に咲かせるのは、いくら温室とはいえ大変だっただろう。
尊敬の念を抱いて、ヴィエラが改めて温室を見渡していると、見覚えのある花を見つけた。
アネモネだ。
オズウェルが毎朝贈ってくれる花と同じもの。
「もしかして、あなたが毎朝くれるアネモネってここに咲いているもの?」
まさかと思って尋ねると、オズウェルは「ああ」と頷いた。
「ずっと、アネモネのお礼を言いたいと思っていたの。毎朝、ありがとう」
お礼をようやく伝えられてヴィエラは一安心する。
オズウェルは口元を緩めた。
「気に入ったのならよかった。ここに咲いている花々もすべてお前のものだ。好きにくつろぐといい」
「い、いいの? ありがとう……!」
この城で一つ、ヴィエラのお気に入りの場所ができた。
オズウェルからの許可も貰えたので、好きな時に見に来ても大丈夫だろう。
(でも……)
こんなに美しい庭を、一人で楽しむのはなんだか味気ない。
(できることなら、また……オズウェルと見たい)
どうしてそう感じたのだろう。
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