44・初めてをあなたに③☆

3/5
前へ
/233ページ
次へ
 ヴィエラの体のこわばりを解くように、オズウェルは何度も頬へ口付ける。  奪うような荒々しいものではない優しい触れ合いに、ドキドキすると同時にどこかほっとしてしまった。 「あ……オズウェル……」  だが、少しずつオズウェルの唇が下りていって……。  やがてヴィエラの首筋へ、オズウェルはちゅうと吸い付いた。  ぴり、とした小さな痛みが走って、ヴィエラは身をすくめてしまう。 「……んっ!」 「まだ……ゆっくりにするべきか……? 私はもう、いろいろと限界なんだが」  ヴィエラの首筋に咲いた赤い所有印を撫でながら、オズウェルが囁くように言う。  熱を孕んだ艶っぽいオズウェルの声に、ヴィエラの背筋へぞくりとしたものが走った。 「ずっと……我慢していたんだ。ずっと……。探し求めていたお前が、やっと私のものになるのだと思えば……もう我慢できない」 オズウェルの酔ったような声音に、ヴィエラまで当てられてしまう気がした。酒の匂いを嗅いだ時のように、くらりとする。 「ヴィエラ……。お前がほしい」 「……っ!」  (それは、私だって……)
/233ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1023人が本棚に入れています
本棚に追加