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これではまるで、本当に恋人のようだ。
(どうして――?)
こんなふうに甘やかされる理由がヴィエラには思い当たらなくて、どうしても困惑してしまう。
「やっとお前を手に入れたのだ。式は終えていないが、手を繋ぐぐらい許せ」
「……っ!」
向けられた視線に熱がこもっていて、ヴィエラは息を飲んだ。
ただ握るだけだった繋がりが深められて、指先まで絡められてしまえばヴィエラはもう何も言葉を発することが出来なかった。
頬が赤くなっている自覚がある。身体中が燃えてしまうように熱い。
(なんで……)
オズウェルから、これほどまでに熱い視線を向けてもらえるのだろう。
ヴィエラはこの国に来るまで、オズウェルに会ったことなどないはずだ。
少なくとも記憶がある7年前以降は、絶対に会ったことが無い。
(それ以前のことを言われると困るのだけれど……)
オズウェルは、恋をしているような甘い視線をヴィエラに向けてくる。
ヴィエラには、それにどう返したらいいのかまだ分からなかった。
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