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……もしかしたら、自分はこの皇帝に好意を抱き始めているのかもしれない。
あまり口数が多い方ではないが、仕事熱心で、意外にも優しいこの皇帝陛下のことが。
ヴィエラはドキドキしながら口を開いた。
「あの、オズウェル……」
「なんだ?」
「またここに来たくなったら、あなたを誘ってもいいかしら……?」
断られるだろうか。
……断らないで欲しい。
「……っ」
祈る思いでヴィエラが見つめるとオズウェルは息を飲み、一瞬動きを止めた。
「お前の誘いを私が断るわけがないだろう。だが……」
そこで一度言葉を止めて、オズウェルがヴィエラの体を引き寄せる。
「きゃ……っ」
予期していなかったオズウェルの行動に、ヴィエラは抵抗する暇もなくオズウェルの腕に抱き込まれてしまう。
ヴィエラのものとはまったく違う硬い胸板が布越しに頬へ触れて、ヴィエラの体に熱がのぼっていった。
「あまり可愛いことを言うな」
(ええええええ)
耳元で低く甘いオズウェルの声がする。
ヴィエラの腰にはオズウェルの腕が回されていて、ヴィエラはどうしたらいいのか分からなくてただ固まってしまった。
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