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7・オズウェルの知るヴィエラ
「ああああの、オズウェル……っ」
「ん?」
「あ、あなたに聞きたいことがあるの……っ」
温室に流れる甘い空気に耐えられず、ヴィエラは空気を変えるように口を開いた。
軽くオズウェルの胸に手をついて、ほんの少しだけ距離をとる。
「以前の私は、オズウェルとどういう関係だったの……?」
それは、ヴィエラがずっと気になっていたことだ。
ヴィエラの質問に、オズウェルは「ああ」と何か思い出したようだった。
「……そうか。ヴィエラは私のことを忘れているんだったな。お前が以前と変わらないから、忘れてしまう。すまないな」
「い、いえ……」
(今の私も昔の私も、オズウェルにとってはそんなに変わっていないのね)
そのことに、ヴィエラはほっと安堵してしまう。
今の自分が、オズウェルの望んだヴィエラに近いならいい。
「立ち話でするような話ではないし、ソファへ行こう」
オズウェルはそう言うと、ヴィエラの腰を抱いたまま温室の奥にあるソファへ向かっていく。
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