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「……オズウェル」
(どうしよう。上手く言葉がでない)
両親に先立たれたあの日、一人ぼっちになってしまったと思った。
自分には誰も、そばにいて支え続けてくれる人はいないのだと。
7年前、レミリアに墓地で指摘されて、底のない落とし穴に落とされたような気分だった。
(この人は、そばにいてくれる……? 私を一人にしないでいてくれる……?)
ああ嫌だ、と泣きそうになるのをこらえながらヴィエラは思う。
(私、過去を思い出してから弱くなってしまったみたい)
もう子どもではないのに、子どもに戻ってしまったみたいだ。忘れていた時は平気でいられたのに、今はオズウェルに甘えてしまいたくなる。
「指輪を、はめてもいいか」
「え、ええ」
ヴィエラが頷いたのを確認してから、オズウェルへヴィエラの左手薬指に指輪をはめてくれた。
ヴィエラの指にピッタリとはまった指輪を見て、満足気に微笑んでからオズウェルは立ち上がる。
(甘えてもいいのかしら)
だけど、甘えるだけではなく、オズウェルを支えられるようになりたいとヴィエラは強く思う。
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