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生まれてくる子どもは、どちらに似ているだろうか。
どんな人生を歩むだろうか。
願わくば、ただ周囲の運命に翻弄されるのではなく、諦めず立ち向かい続ける強い子になって欲しい、とヴィエラは思う。
ヴィエラはそんなオズウェルの姿に救われたのだから。
「お前は今、幸せか? 私はお前を、幸せにできているだろうか」
緩やかな丘を下りながら、不意にオズウェルが尋ねてきた。
ぽつりと呟くようなその言葉が、彼に似合わず少しの不安を孕んでいて、ヴィエラは「ふふ」と笑いをこぼした。
(そこは、自信をもってくれていいのよ?)
ヴィエラがオズウェルと一緒にいて不幸だったことなんて一度もない。
この皇帝様は、いつだってヴィエラに優しくしてくれる。守ってくれる。
オズウェルがいてくれること以上に安心できることは無い。
(あなたのおかげで、私は空っぽじゃなくなったの)
心が幸福感で満たされている。
共にいるだけでこれほどまでに満たされることを、ヴィエラはオズウェルといて初めて知った。
「ええ、私は幸せよ」
ヴィエラはオズウェルの肩にそっと身を寄せた。
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