こころ、売ります。五百円

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「やったー! 昼休みだ――!!」  同僚が喜びの声とともに大きく伸びをした。というか、今日は日曜日なので本来であれば一日中休日なわけだが。 「係長(ハゲ)、さっき帰ったって」 「ウェーイ!」 「やったぜ」  オフィスが活気に包まれる。 「じゃ、みんなで飯食いに行こうぜ」 「お前も来るよな?」 「え?」  同僚と顔を見合わせる。お互いに驚きの表情を張り付けて。 「いや、私はコンビニで適当に買って食うよ。時間もったいないし」 「えー。まじかよ」  彼は落胆して、それからすぐに他の社員たちと談笑しながら部屋を出て行った。  今までの自分なら、迷わずみんなについて行ってラーメンでも食べに行っただろう。でも、今は違う。  だって普通に考えてみろ、今私たちは休日出勤してるんだぞ。一秒でも早く帰りたいだろ。だったら、コンビニで買ったカロリーメイトをウーロン茶で流し込むのが合理的だ。  私は、間違っていない。
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