始まりの町 バース 1

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「あら、あんた目が覚めたの?」 パチパチと火の爆ぜる音がしてカゲは意識を取り戻した。 身体中が痛い。特に肩から背中のあたりは、木枠でくくりつけられたように こわばっていた。 ここはどこだ? 土の湿った匂いがカゲの鼻をついた。 外は灼熱の砂漠だったはずなのに、ここは冷んやりと涼しい。 火を焚いていなければ寒いくらいだろう。 「残念だわ。死ぬと思っていたのに」 薄いベールが顔にかけられていて、よく見えなかったが、 火のそばにいるのは若い女のようだった。 「ここはどこだ?」カゲはかすれた声をしぼりだした。 咽喉の奥が締めあげられているようで ヒューヒューと笛をならすような音がする。 女は火にかかっている鍋を見つめていた カゲは渾身の力をこめて右手を上に伸ばした。 鉛のような重さの右手とヒューヒューという音。 夢なら早く覚めてくれ。 そう思った時、女がカゲの動きに気付いて、近づいてきた。 「動いてる。気味悪い」 女は間近によりカゲの顔をしげしげと眺めた。 薄いベールが透け、その向こうにカマキリのような 大きな複眼が見えた。
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