滴る想いよ、花になれ

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 夜々香は勢いのままに過去の想いを告白しようとして、直前に口を噤む。 「どうしました?」 「……ううん。雨上がりって、絵麻さんの言ったワンクッションってやつみたいだなーって」 「何ですかそれ。夜々香さんはコノハナ会に欠かせない人材ですね!」 「何それ、どういう意味ー!」  空気が纏う湿気に反して、二人の少女は乾いた笑顔を互いに見せ合う。夜々香はもう、あの日のことを絵麻に伝える気はない。今の夜々香なら、不幸自慢は御免だと思えた。  自殺を試みたあの日、コノハナ会に勧誘されたあの日、そしてコノハナ会四回目となる今日。  全て雨が降っていたにも関わらず、今日だけは何故か晴れた。曇天は何処にもない。つまりそういうことだ。  心の奥底で、あの日の自分に叫ぼう。雨上がりの度に乗り越えて、時々誰かに傘を差してもらおうよ。そうしたら、雨上がりに雫が生きる意味を滴らせてくれるかもしれないから、と。  例え死が先だろうが生が先だろうが、コノハナ会で絵麻と共に歩む。それが、今の夜々香という人間の、生きる最大の目的だ。  あっ、ねえ! と絵麻は何かに興奮し花壇の下を指差す。  アスファルトと煉瓦の隙間から、濡れたたんぽぽが蕾を懸命に膨らませていた。
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