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リベンジ
「さぁ、今度こそ、雨止ませてよね!」
……あれっ。
突然、意識がはっきりした。いつもの行列に並ばないまま、ボクは作られていた。
「アタシ、ちょっとはベンキョーしたんだから。“てるてる坊主”って、すぐには効かないんでしょ?」
ピンクの爪が、ボクの頭をツンと突く。ユラユラ揺れながら見渡す室内に、見覚えがある。それに、聞き覚えのある声……。
「明日は、昼過ぎまで雨予報なのよ。夕方には止むんじゃないかって言うんだけど……やっぱ、保険が欲しいってゆうかさぁ」
ツンッ。
カーテンレールにぶら下げたボクを、ピンクの爪がまた突く。爪の主――ボクを作った女の子は、あの浴衣の子だ。
「アイツ、鈍いからさぁ……ちゃんとアタシのこと意識させるにはさ、花火デートしかないかなぁって」
ツンッ。
もぅ、やめてよぉ。クルクル目が回っちゃう。
「と、に、か、くっ」
回転するボクをパシッと掴んで。彼女は顔を近付けた。
「明日こそ、天気にしてね! 頼んだわよっ!」
……そんなぁ。叶えてあげたいけれど、ボクにはなんの力もないんだってばぁ……。
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