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ここは、どこだろう。
視界はクリアだ。更紗ちゃんが書き込んでくれた目は、ちゃんと機能してくれている。
見上げると――淡い水色の空がどこまでも広がっている。
見下ろすと――柔らかな白い雲がどこまでも続いている。
リリン。
どこかで、鈴の音がした。その途端、ボクは理解した。そうか、ここは神様の国なんだ。
『おかえり、我の子。よくぞ務めを果たしました』
振り向くと、光を背負った白髪の老人が、ボクに向かって両手を広げている。その後ろには、個性的な顔をもらった沢山の仲間達が、ユラユラ、クルクル踊っている。彼らの首には、ご褒美の金色の鈴が付いていて、踊る度にリンリン、シャラシャラ、歓迎の音楽が賑やかに奏でられる。
「ただいま、八意思兼命様ぁ!」
誇らしい気持ちで、懐かしい主の名前を呼んで駆け出した。赤いリボンが結ばれたボクの首元で、金色の鈴がリリンと震えた。
【了】
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