幸せ定期便

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「あれっ? もしかして美里(みさと)?」  仕事帰りショッピングモールをふらふらしていた私にかけられたのは、どこか懐かしい声だった。 「えっ! もしかして春香(はるか)?」 「うん。美里変わってないねー」 「春香だって。8年ぶりぐらい?」 「だね。高校卒業以来だもんね」  春香とは高校時代、女子数人の仲良しグループでよく遊んでいた。  特に何かあった訳ではないけれど、大学進学と共に変わった交友関係の中で、いつの間にか疎遠になってしまっていたのだ。 「ホント、課長ムカつくー」 「わかる、わかる。使えない上司ほどイラつくもんはないよねー」  そう言って私はレモンサワーのグラスを傾けた。  8年の月日なんてあっという間に埋まるもんだな。  私達は空白の時なんかなかったように愚痴をこぼし合う。 「でもさ、美里、カレシとか作らないの?」 「んー、いいなって人はいるんだけどね……」
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