幸せ定期便

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 一つだけ半額シールの貼られた特上鰻をゲットできたり、疲れが溜まりまくった金曜日の通勤電車、ちょうど目の前に座っていたおじさんが降りて珍しく会社まで爆睡できたり、その後も『幸せ定期便』は月に一度『小さな幸せ』を届けてくれた。  次はどんな『幸せ』を届けてくれるのかな、とか、ちょっとしたラッキーなことがある度にこれは『定期便』のお陰なのかどうなのか、なんて考えるのは結構楽しかった。 「今回のプロジェクト、根本(ねもと)もメンバーに入っているから」 「えっ?」  大友(おおとも)係長の言葉に、私は思わず声を上げる。  正直、社内プロジェクトへの起用なんて煩わしい以外の何ものでもない。  私は昇進なんて考えてないし、責任を負わされたり、忙しくなってサービス残業が増えたりなんかしたらたまらない。  それが顔に出てしまっていたのだろう。主任は小さくため息をついた。
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