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駅前の花屋で働いてるのを見かけたと友人が言っていたので翌日に早速花屋まで足を運んでみる。
「……いた」
笑顔でお客さんと接する林道がみえる。
ふと視線を指に移すと左手の薬指には信じたくないがキラキラと輝く石がついていた。
本当に結婚してるんだ。と思って怖気付いてしまうが、どうしても話したいと意を決して店の中へと足を進める。
「いらっしゃいま……せ」
来客に気づいた林道がこちらをみて目を大きく見開いている。
「やっと見つけた」
「な、なんで……」
「忘れられるわけないだろ。むしろお前は俺のこと忘れたのかよ」
「忘れて、ないよ」
うつむき加減で話す林道に「何時まで?話したいんだけど」と腕をつかむ。
「もうすぐ終わるから、そこのカフェで待ってて」
「わかった。逃げるなよ?」
「今さら逃げないよ」
食い下がらなさそうな俺に観念したのか、ふふっと笑う。その笑った顔が前となにもかわらなくてうれしくなってしまう。
あぁ、やっぱり俺はこいつが好きなんだと思い知らされる。
指定されたカフェについて、何を話そう。何を聞こう。結婚してたっていいから、俺の気持ちをわかってもらおうと考えを巡らせる。
「おまたせ」
カフェについて1時間くらい経った頃、俺の好きな笑顔で笑う林道が立っていた。
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