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「俺のせいにしてもいいから、俺の家にこないか?」
「……え?」
「今の家にいたって傷つくだけだろ。そんなところにおいてなんていれない」
林道は人の妻だということは理解してる。
それで幸せだっていうなら喜んで手放してあげるけど、こんなのを見ちゃ黙っていられるわけがない。
「行きたい……できるならもう1回やり直したい、紺田と」
「ただ、すぐに俺の家に来るってのは不貞を疑われても困るからとりあえずうちの実家に行こう。あと、知り合いの弁護士がいるから離婚の相談しよう。多分口で言っても分かってもらえないだろうし」
「そこまでしてくれるの?」
「あぁ、もう一回やり直したいんだろ?」
俺の言葉に涙が流れて止まらなくなっている頬に手を触れる。
「とりあえず離婚がきちんと成立するまで、俺はお前に触れないよ。とりあえず涙を拭うのも一旦これで最後な」
「……うん、ありがとう。本当にありがとう」
本当は触れたくて触れたくて、ずっと傍においておきたくて仕方なかった。
ただ、DVをするような男だ。ほかの男の影に気づくだけでまた酷いことをされるのは目に見えてる。
もうそんな環境には戻したくないから、俺も一緒に耐える。
それがいまの林道にできる最善のことだから。
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