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クラス対抗
俺は今、とんでもない窮地に立たされている。
俺がこの一回を決めなければ競技はあと一回ずつ各クラスが投げられる。
4クラス対抗のボール入れ。
最近は危険だとか何とか色々と言われて、危ない競技は減っている。いや、こんな目に合うんだったら騎馬戦とか棒倒しの方が心の危険は少ない気がする。実に心臓に悪い。
水を入れた子供用のプールに軽くて柔らかいハンドボール大のボールを投げ入れるだけの競技なのだが。
4クラス中3クラスは投げ終わっている。
プールのボールはもう、あふれんばかりで水面は見えないので既に入っているボールが出てしまう可能性もある。
ボールは軽くて柔らかいので他のボールに当たったら自分のボールも出てしまうかもしれない。
他の3クラスは全員が投げ終わって皆20個ずつのボールが入っている。
俺のクラスは今、既に20個のボールが入っている。
俺がボールをうまくプールに入れれば俺のクラスが1個だけ抜きんでて勝負はつくのだ。
でも、他のクラスはそれでは悔しい。
そこで、「あと一回」コールが始まった。
俺が失敗すれば、全てのクラスが同じ数になるので、あと一回ずつ投げられるのだ。
絶対に入れてやる。
俺はプールをめがけてボールを放った。
ボールは俺の手を離れて・・・・
俺の頭の上に落ちてきた。
あまりの緊張で手に汗をかいてボールが上に飛んでしまったのだ。
『わぁぁぁぁぁ!!!!』
歓声と大笑いの声が俺を迎えた。
「よ~し。みんな、あと一回ずつ投げられるぞ~。」
体育祭はこんなゲームでも熱くなれる。
青春だぜ。
「へっ。」
元々クラス一もてる俺は、頭に当たったボールを持って、髪をかき上げながらクラスの列に戻った。
クラスのみんなは次にだれが「あと一回」を投げるのかを決めるのに夢中で誰一人俺の事など見てはいなかった。
まぁ・・これも青春さ。
【了】
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