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「異世界転移とか興味あるつってたじゃん?面白そうだったら覗いてみるくらいいいと思わね?」
「そんなのあるわけないと思うけどねえ。それに、帰る方法が確立されてなかったら怖くない?」
「もち、危ないことはしねーって。覗くだけ覗くだけ。やばそうだったらブラウザバック!」
「な、なんか微妙に違う気がするけど……」
帰りのホームルームが終わるのは午後四時くらいとなっている。私達はそのまま教室に居残ると、二人で雑談しながら二階の廊下を歩いていったのだった。
二階には、現在あまり使われていない東校舎への渡り廊下がある。
古いこの学校は、昔はもっと生徒数がいたらしく、二つの校舎にパンパンに生徒がいたというのだ。が、時代とともに子供の数が減り、現在東校舎は一部の特別教室以外使われなくなってしまっている。
まったく使っていないわけではないので渡り廊下なども閉鎖されていないが、掃除なども行き届いていないので、特別教室(理科室など)を利用する時以外はあまり立ち入らないようにと言われていた。
西校舎と違い、人気がなく、静まり返った東校舎。そのまま二階の廊下を突き辺りまで進むと、東端の階段を一階まで降りていくことになる。
目的地は一階階段裏手の物置である。
「ここだよ、ここ、ここ」
階段裏には、小さな木製のドアがある。その前に立ってユズは嬉しそうにドアを指さした。
「西校舎にもあるけどさ。一階の階段裏のこのドア、ほったらかしの物置になってんだよね。このドアの向こうが、異世界に繋がることがあるらしいんだ。特に、こっちの東校舎のドアが確率高いって!」
「まあ、こっちなら変なことしてても人来なさそうだしね。ただ開けるだけでいいの?つか、鍵かかってないの?」
「このドアの鍵はずっと昔に壊れたまんま放置されてるんだってさ、噂だけど。で、ドアを開ける前に、特定のリズムでノックする。そのあとドアを開ける。それだけだって」
「ふうん……」
私があまり信じてないのがわかったからだろう。見てろよー、とユズはドアの前に立った。そして何故か腕をぐるぐるっと回して気合を入れた後で、ドアをノックしたのである。
とんとんとん。
とんとんとんとん。
とんとんとん。
三回、四回、三回。薄汚れたドアに触った結果、彼女の拳にはちょっとだけ埃がくっついていた。
「開けるよ」
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