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同じ顔
冴木凌空と冴木大空。
彼らが一卵性双生児の双子だったなんて知らなかった。
あんなに尊いイケメン顔が二つもこの世に存在してたなんて…。
二人はどちらがどちらなのか全くわからないくらいそっくり。だけどその性格は全く違うみたい。
どっちだろ。あの時の人…。
どっちだろ。私の運命の人…。
*
朝、学校に向かう途中、後ろからきた誰かとぶつかった。
「いたたた…。」
「ゴメン、大丈夫?」
向こうも転んだのにこっちの心配をしてくれた。
「大丈夫…。」
「うわ。バックの中身出ちゃってるし。」
メガネケースとポーチを拾ってくれた彼の顔を見た途端、心臓が飛び跳ねた。
うわ。あの、イケメンだ!
無言で散らばった荷物をかき集め慌ててその場を立ち去ってた。
慌てたのは時間が無かったからじゃない。
目があったら息ができないほどドキドキして。苦しすぎてその場にいられなかったから。その顔があんまりにも眩しすぎて。
大学構内で見かけてたあのイケメン顔はよく知ってた。
まさかそんな彼とこんなに至近距離で朝から見つめ合うとか、想像もしてなかったし。
同じ空気を吸うなんて、一生あり得ないと思ってた。
しかもあんなに優しい目で大丈夫?なんて聞かれたら大丈夫としか言えない…。
講義が始まってもこの通り上の空。だってさっきのあの奇跡のようなシーンが頭から離れないから。
彼のあの眼差しが私の目の奥に突き刺さり今も刺さりっぱなし。その時の衝撃がまだ残ってる。
だから気がつかなかった。
お財布を落としてた事…。
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