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魔女との邂逅
「ねえ!」
孔士が前方にある洋館を指さした。
「随分と不気味な所だな」
「ですが明らかに怪しいですね」
孔士は心底嫌そうな顔をすると震える声をだす。
「もしかしてあそこに入るのかな?」
「もしかしたらあそこに美琴がいるかもしれないからな」
ジャンヌは槍の先に巻いていた聖布を外す。
「かなり危険な場所のようですね。強力な魔力を感じます」
「取りあえずあの洋館に入るか」
「ええ」
孔士は禅宗達の後ろで手を振りやり過ごそうとするが
「僕はここで待っているよ」
「ほら行くぞ」
禅宗に首根っこを掴まれ引きずられながらも洋館へと進むのであった。
「嫌だぁぁぁ~!」
孔士の叫びが森に響き渡る。
ギィ~
扉が開く音が不気味に洋館に響く。
「真っ暗ですね」
ジャンヌは辺りを警戒しながら奥へと歩く。
「随分と古い建物のようですね」
「ああ…」
「どうしたのですか?禅宗」
禅宗は床を見渡すと微かな違和感を抱く。
「こんなに古い洋館なのに何でこんなに床が新しいんだ?」
「ぜっ、禅!」
怯えた孔士が眼前の火の玉に指さす。
「この国にも物の怪がいるのだな」
「まるで日本には妖怪がいたみたいな言い方だね」
「ん? 孔士は見た事ないのか」
「そっ、そんなの見た事ある訳ないだろう!」
「お前も似たような存在のくせに」
ガタガタ震えながらもしっかりと否定する孔士。
「人を何だと思っているんだ!」
「罠よけ…」
ボソッとジャンヌが呟く。
「ジャンヌうるさいぃぃぃ!」
孔士の大声が洋館に響き反響してくる。
「孔士の中にもイザナミという有難い神様がいるのだからそんなに怖がると失礼だと思うぞ。
それにイザナミ様は黄泉の国を行き来する神様だからな」
「よ、黄泉の国?」
「おい」
「!」
いきなり聞こえてきたイザナミの声に孔士は腹のそこから悲鳴を上げる。
「うわっ!」
「お前はさっきから失礼だぞ。我を魍魎と一緒にするな!それに何やら不穏な力がただよって
いる」
「え?」
孔士達の周りから土のゴーレムが現れる。
「何だよこいつら」
孔士はすぐさま構えて臨戦態勢に入る。
「どうやら本当にここはヤバい場所のようだな」
「だからさっきからそう言っているでしょう」
禅宗とジャンヌは互いに背中合わせにしてゴーレムに備える。
一斉に動き出したゴーレムは禅宗達に襲いかかる。孔士は禅宗達とは少し離れた場所にいた
ので孤立してしまったがゴーレムの動きでは捕まえる事ができなかった。
「禅! こいつらそんなに速くない」
「そのようだな」
だがいくら破壊してもゴーレム達はすぐさま再生してしまう。
「武藤流示現閃!」
禅宗の一閃は数体のゴーレムを斬り捨てる。
「はぁ!」
ジャンヌの槍が華麗に舞い
「このっ」
孔士の拳と蹴りがゴーレムを突き飛ばす。
そうこうしているうちに次々とゴーレムが増えていき段々と追い詰められていった。
「武藤流二天一刀」
両手に刀を持った禅宗が独特のリズムを取りながらゴーレムの群れへと飛び込んでいった。
ゴーレムの足だけを斬り裂いて動きを止めていく。床でジタバタともがくゴーレムを見据え
ながら禅宗が叫んだ。
「今だ! ここから出るぞ」
孔士とジャンヌはゴーレム達を乗り越え出口へと走った。禅宗達が外に出ようとした瞬間に
扉が閉じて閉じ込められる
「なんで!」
孔士の叫びと共に不気味な笑みを浮かべた魔女メディアが現れる。
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