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逃走
「ふふふふ。せっかくのもてなしなのですからそう急がずにゆっくりとしていって下さい」
真っ暗な天上で邪悪な光を放ちながら浮かぶ魔女。
「貴方がこの森の魔女ですか?」
「ええそうですよ。聖女さん」
「私を知っているのですか」
「この国の神具使いは全て把握しております」
不気味に笑みを浮かべながら空中を浮遊して禅宗達を見下ろしている。
「私達をどうするつもりですか?」
「せっかくお越しいただいたので丁重におもてなしをした後」
邪悪な笑みで口を開く。
「ゆっくりと私の実験動物として飼って差し上げますわ」
「貴様!」
メディアの魔力に悪寒を感じながらも強く槍を握る。
次の瞬間、禅宗がメディアで斬撃を放とうとしていた。
「えっ?」
「武藤流抜刀術 北辰剣」
高速の抜刀剣がメディアに襲いかかる。
「くぅっ」
間一髪で距離を置く。
「はぁっ!」
孔士が追い打ちをかける。
床から巨大なゴーレムが現れて孔士を吹き飛ばした。壁に激突しめり込んでしまう孔士。
「随分といきなりですね」
ゆっくりとメディアを睨む禅宗。
「お前は俺達を飼うつもりか?」
「ええ…。ですがあなた達のような狂犬はやめておきますね」
「…美琴はどこだ?」
「はて…誰ですかその女は?」
「誰も女とは言ってないぞ」
「名前が女ではないですか?」
白を切ろうとするメディア。
「この国に美琴なんて名前の人間は女だろうが男だろうがいない。だがお前はすぐさま美琴
という名前を女と理解した。それは以前に接触している証拠だ。それにこの部屋には美琴の気配が少し残っているぞ」
「まったく…忌々しい小僧だ!」
メディアの周りからゴーレムが溢れ出てくる。
「このまま磨り潰されろ小僧」
あっという間に取り囲まれた禅宗達だったが
「雷身」
黄色い光に包まれた孔士が禅宗とジャンヌと掴むと扉を破壊して外へと逃げ出した。
「バカな!」
一瞬の出来事だった為メディアは呆気にとられている。
「まぁいいこの森は私の狩場。すぐに見つけて殺してやる」
苦虫を嚙むような顔で孔士達が出ていった扉を睨むメディア。
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