――それで、どうしますか?

5/5
前へ
/19ページ
次へ
「……そう、なんだね」 「はい。……怒っていますか? 楓和(ふうな)さん」 「……へっ? あ、いやそんなことは……そんな、ことは……」  紗那(さな)さんの問いに、どうしてか言葉に詰まる僕。……いや、怒ってはいない。そもそも、怒る道理なんて何一つない。なのに……どうして、はっきり否定の言葉が出てこな……あれ? でも、そもそもどうして彼女はこんな質問(とい)を……ああ、そうか。 「――それで、どうしますか? 楓和さん」 「……どうする、とは?」  すると、柔らかな微笑でそう問い掛ける紗那さん。何とも漠然とした質問(とい)ではあるけれど……まあ、確認するまでもないよね。 「――流石に、お気づきでしょう。父に、伝えたい想いがあるのではないですか?」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加