追憶

2/4
前へ
/19ページ
次へ
 ……それでも、流石に全く登校しないわけにもいかなくて。ずっと引き籠もりだと、それはそれできつかったから。ただでさえ重くのしかかる親からのプレッシャーに、いつしか押し潰されそうだったから。  だけど……そんな、たった少しの登校すらも耐えられなくなり、入学から僅か半年ほどで退学。かと言って、逃げただけの僕に今後の展望などあるはずもなく。いっそう鬱は募り、いっそ死にたいと思った、そんなある日のことだった――卒然、僕の下を訪れた奏真(そうま)先生が、こう口にしたのは。 『――ねえ、楓和(ふうな)くん。本当に余計なお節介かもしれないけど、良かったら僕の家に来ないかな?』 『…………へっ?』  
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加