野暮なこと?

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野暮なこと?

「――ところで、楓和(ふうな)さん。これはどういう仕組みのでしょう?」 「えっと、これは確か、内部(なか)にその数値を予測する仕組みがあって……あって……」 「ふふっ、そうですね。内蔵するマイクロコンピュータが、高度な微分方程式を解くことで10分後の体温を予測しているわけです」 「……うん、勉強になります」  それから、十数分経て。  どうにか記憶の糸を辿る僕に、少し可笑しそうに微笑み答えを教えてくれる紗那(さな)さん。……まあ、記憶の糸も何もほぼ知らなかったけど。  ともあれ、そんな彼女の手に見えるは体温計――こういったお馴染みのアイテムが、こういった高度なシステムが技術で成り立っていることは珍しくなく、知るたびに感動を覚えるもので。まあ、記憶の糸も何も、実際にはほとんど知らなかったけど。  それと……うん、わりといつものことだけど、僕が教わっちゃってるよね? これじゃ、還元どころか酸化され……うん、何言ってんだろうね。
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